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主に東方projectの二次創作について綴る事を趣旨とした、個人的ブログです。 記事のほとんどはSS関連になると思います。
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11.22.22:48

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  • 11/22/22:48

02.16.18:43

作品集69「海をしらない彼女たち」いこの氏

 まず一番最初に驚かされたのは、文章のリズム。読み進めて行くのに一切の抵抗がありませんでした。それから穏やかに進んで行く物語が、結末に向けて次第に躍動して行く時には図らずも心臓の鼓動が早まりました。文字が直接情景を訴えかけて、そこにある光景を伝達してくるような――ある種快感にも似た感覚を感じられる、そんな作品だったと思います。何より御阿礼の子の有り様が読んでいて切ない、けれども何処か尊く思える事が出来ました。今、私も阿求のSSを執筆しているので、とても啓発された気分です。

 ざんざんざん。


 勢いもよく筆走る。
 僅かにくすんだ白色が紙、記すは文字の連なりを。
 黒なる墨にて白なる紙をば切り込み刻まんとするばかり。
 私がひとたび筆を動かすときは、躊躇いひとつあること無く。
 ――本文より抜粋。

 ある夏の一時、衣服の下に汗が滲み出てくるくらいには涼が必要となる時分、彼女がよく知る大妖が現れる。唐突に現れ、唐突な質問をして見せる彼女に、御阿礼の子は戸惑い、その答えに呻吟する。色々な事を考えて、必死に模索した結果、彼女が出した答えとは――。

 夏の一時にもう一度読み返したくなるだろう作品でした。
 是非とも、一読をお勧め致します。
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02.15.18:53

作品集69「別れ紅」稲生氏

 紅に対する作者の解釈が実に面白い作品。
 序盤が冗長過ぎる感は否めないが、後半へと物語が進むにつれて、作品からは鮮やかな紅色が溢れ出す事だろう。文字を通して色を伝え、そして別れを告げる悲しき一文字「紅」。個人的には結末を最後まで描き切って欲しかったと思えるが、あるいはそれも作品を引き立てる要素なのかも知れない。が、それでも「紅」を別れの象徴としたこの作品、最後にどんな別れがあったのか、知りたいと思う気持ちは豪も薄れない。

 ある日唇に艶やかな色を塗った魔理沙が博麗神社へとやって来た。しかしその技術たるや未熟故、唇を飾った紅色は酷く不格好。そんな幼少時代の思い出を振り返っていた折、再び今度は少しだけ技術を上げた魔理沙が再び唇に紅を纏って博麗神社を訪れた。それから次第に紅色に関連した出来事を思い出し、霊夢はある想い出の中の人物と邂逅を果たす――。

 これほどまでに色鮮やかな作品はあまりみた事が無かった気がします。
 話としては良し悪しが分かれるものかも知れませんが、とても面白かったので一読をお勧めします。

02.10.09:54

作品集69「嫉狂い」イセンケユジ氏

 氏の作品を初めてお目にかかったが、私にとってこの作品は、創想話にて敬服した久し振りの作品であった。文体は古風なもので、私には何処か芥川龍之介に似ているように思われた。またそれに似合った物語展開は、飽きる事なく読み手を作中に取り込み、知らず知らずの内にその世界へと没頭させるのである。

 世の誰彼からも天才と評される偉大な画家、桂は橋の建築に関わる事になる。そうしてその風景を是非に描いてみたいという気が起こり、ある日件の橋へと赴いた。
 ――果たしてそこには美しい少女が倒れていた。金色の髪の毛に、緑色の瞳、凡そ平凡とは到底云えぬ人物を前に、彼は芸術的感動と、ある種下心の混じった思いとで、声をかける。彼女は名を「パルスィ」と名乗った。そうして、彼の事を尊敬し、また敬愛している風に褒めた。それから桂は足繫くその橋へと赴く事になる。彼が死に至るまでに起こる凄惨な事件は、きっと読者の心を刺激して止まない事であろう。

 上記のあらすじの通り、この作品ではオリジナルのキャラクターと、パルスィの物語が展開される。パルスィが持つ能力の面白く斬新な解釈と、天才画家である桂と彼女との関係に否応なしに着目する事になる作品だが、前半の何処か穏やかで切ない雰囲気は、後半になって驚嘆の極致に達する材料となる事だろう。私はこの作品を読み終えた後、ふと人に必然存在し得る嫉妬という情について考えてみた。そうしてそれを考えている内に、誰しもその魔の手に掛かる恐れはあるのだと気が付いた。
 この作品はそういう訓戒を秘めたる元に、忘れかけていた恐怖の炎を再び我々の心頭に灯すのである。

 長さも読み易く、私が是非にと勧めて止まない作品の一つ。

02.08.18:23

作品集69「あなたへの月」人比良氏

 創想話に投稿されている氏の作品を全て読んだ訳じゃないが、その一部を読み漁っていた私は、すぐに氏の文体や物語の雰囲気、主旨などが好きになった。それだから今回投稿された氏の新作が創想話の中で私の目に入った時などは嬉しくて堪らなかったものである。

 物語は咲夜が自らに対して持つ疑問を考える事から始まる。「悪魔の犬」「吸血鬼の従者」――自分が称される二つ名など幾多ある中で、それでも彼女は自分が何なのか、という自問に対する本当の答えを見付けられない。やがて、そんな事をつらつらと思い浮かべながら紅魔館の廊下を一人歩いていた彼女は、ある人影を見つける。それは彼女にとって気になる存在。ヒトか否か、それを尋ねたいと思う人間であった。
 
 今回の作品では氏の作品の中で頻繁に存在を主張してくる残酷性や、物語の背景に潜む暗さなどはあまり感じられない作品になっているように思われる。主な登場人物である咲夜と魔理沙、その何処か剣呑な距離と、咲夜が自分に対して持っている「自分とは何なのか」という疑問が、見事に作風の中に取り込まれていて、読んでいて読み手を不思議な気分にさせてくれるような作品となっている。
 特筆すべきは淡々と物語を進ませる事により、この作品の良さを際立たせている、氏の筆力である。咲夜の一人称の場面は彼女の心情を判り易く表現する事により、彼女が持つ疑問を判り易くし、そこに魔理沙が介入してからの展開は何処か艶めかしい空気が漂ってきて、何故だかはらはらする。

 私はとことんまで物語の中に含まれる残酷性などを、氏の作品から見れる事を期待していたが、今回の作品はそういう人で楽もしめると思う。不安定な咲夜が起こした奇妙な行動は、やがてどういう形となって現れるのだろうか。

02.04.21:04

作品集19「流れ行く時」ニケ氏

読んだ作品の感想です。
ネタバレを含んでいるので充分に注意して下さい。

つづきはこちら

12.23.21:15

作品集65「ミクスチャー」腕氏

 SS更新の時間が取れず、とりあえず最近読んだ作品の感想を。

 反魂氏の「ZENRA」もそうでしたが、こういうギャグ物はとても面白く感じます。豊富な語彙力を巧妙に使い回して、要所の小ネタで笑いを誘ってくる。私には出来ないなぁと思いつつ読んでいました。
 何より独特の言い回しが素晴らしい。直球的なギャグではなく、遠回しなギャグに思いましたが、それでも充分に笑わせて貰いました。特に永琳の性癖の解説の所が面白く、あの言い回しにはついつい笑わされてしまいます。一見の価値があると思いますので、僭越ながらお勧めします。

12.13.23:23

作品集64「びいだま」反魂氏

 ちょっと感想を書いてみたり。
読んでみてとても感銘を受けた作品。
素直に羨ましいと思いました。情景描写を重視し、そして詩的な表現を交えながら登場人物の心情も描写しているように思いました。そしてまたその技量が凄い。言葉のリズムというか、そういうのがとても整えられている印象を受けました。一切の滞りなく物語が進み、すらすらと読み進められるために飽きる事もなく、気付けば終わっていて、何処か残念な気持ちになってしまいます。そんな感想。

ここから考察。
まあ無粋かも判りませんが、私なりにこの作品を見て感じた事を。
生と死の対比。人間と妖怪の対比。そうしてそれらを包み込む幻想郷。
それらを表したかったのではないかと思いました。
阿求は幻想郷を記録する為に生き、あらゆる妖怪を記憶しながら、人間の事も記憶している。だからこそ、転生を繰り返す阿求は彼らの儚さを知っている。それを冒頭と末尾に持ってきていることから、幻想郷を表してるのではないかと思いました。

そして人間である霊夢と魔理沙。彼女らの他愛ない遊びは人間らしさを。それに続く永琳や鈴仙の場面は不死者(=生きながらの死者と考えてます)故の苦悩。つまり死と生を表現したと思いました。
慧音と幽々子の場面でも同様の事が言えるのではないでしょうか。持っている悩みは違えども、彼女らが背景に感じている事は同じではないのかと考えました。



私もこんな文体が書けたらなあと思ったりしました。
反魂氏はギャグにも長けているようですし、語彙力も凄まじい。創想話内で尊敬している作家の一人です。暗めの話も明るい話も、どちらも書けるだけの技量が欲しいなと思いつつ、嫉妬しながら読んでました。――と、それはまた別々に感想を付けるとしましょう。