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主に東方projectの二次創作について綴る事を趣旨とした、個人的ブログです。 記事のほとんどはSS関連になると思います。
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  • 11/22/10:00

05.05.01:52

作品集61「愚者から愚者への贈り物」監督氏

 名も無き妖怪の娘と、人里に住まう猟師の物語。東方の二次創作である事の必要性云々など関係なしに楽しむ事が出来る作品である。物語自体は悲しく切ないものであるのに、読後感は何処か暖かな心持ちになる、何だか不思議な魅力を持っているというのが読後の第一印象で、その後語り部の言い回しの巧みさが後を追うように特別な感慨をもたらしてくれる。
 悲惨な結末か、幸福な結末か、どう解釈するにして彼ら二人が終焉を迎える間際、幸福な気分であった事は語るべくもない。そしてそうであるからには、私は幸福な物語であったと信じている。



 飢えに苦しみ狩りを行う体力すらない妖怪の娘が出会った猟師の男は、酷く物好きな人間であった。弱った妖怪に自らが捕った獲物を与え、元気にしたばかりかその理由は判らないのだと云う。そんな奇妙な人間を前にして、妖怪の娘は得も知れぬ感情に戸惑いながらも、男との逢瀬を重ねて行く。



「うまくできたもので、二人が逢う時は必ず、私が食うに困っていないか、彼が余分な獲物を持っているかのどちらかでした。だから私は彼を襲って食べる必要がなかったのです。」
 この一文が実に微笑ましいと思いました。思えば妖怪の娘が戸惑っている様を一番如実に表しているのはこの文なのではないでしょうか。他にも何だか心が擽られるような言葉もありましたが、個人的に一番気に入っているのはこれでした。こんなにも都合よく男を喰らわない状況で彼と会えたのは、ひとえに彼女の心境の変化に原因があるのでしょうから。彼女の云う通り、食べる必要が無かったのでしょうね。

 実を云うと前に一度読んだ事がある作品で、今回もう一度読み直してみてとても面白く思えました。このような結末を描きながら、暖かな心持ちにしてくれる作品は、中々ないと思います。本当に不思議な魅力を持っている作品ですので、是非ともお勧めします。――といっても、元より高評価を得ている作品なので、今更私が云うような事ではないのかもしれませんが。

 この作品をお勧めして下さった方、ありがとうございました。
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無題

前回も今回のも、とても興味深く読ませていただきました。
これらの作品をどうご覧になるのかとても気になっていましたので。
特にこれについては私が読むとどうしても、聞き手(個人的には、霊夢と考えて普段の東方らしさに引き付ける必要はないと思っています。いかつい、霊力ある男ぐらいの方が向いているような)が何故最後に立ち去ったか、の方に興味が向いてしまい、

>「うまくできたもので、二人が逢う時は必ず、私が食うに困っていないか、彼が余分な獲物を持っているかのどちらかでした。だから私は彼を襲って食べる必要がなかったのです。」

のような、彼女のささやかな幸せに対して目を閉ざしていたのに気づかされました。私もよく親しんだ作品でしたが、目が覚める気持ちでした。ありがとうございました。
毎度楽しみにしております。

  • 2009年05月06日水
  • NONAME
  • 編集

無題


という印象でしたが、確認のため読み返すと針と札持ってますね聞き手。とはいえ、印象は改まらないのですが。

お目汚し失礼しました。

  • 2009年05月06日水
  • NONAME
  • 編集

お返事。

 お目汚しだなんて、そんな事はありません。私からすればこうして、共通の作品に対して感想を述べ合う事が出来るだけでとても楽しい経験をさせて頂いているのですから、むしろ感謝しています。

 私的にも、針や札の描写が出るまでは、同様のイメージを持っていました。しかしその描写が出てからは、人と妖怪、どちらとも関係を持つ彼女が物語の登場人物として一番相応しいとも思いました。

 何故最後、彼女が立ち去ったのかについては、先に云った事を踏まえた上で、起こるべくして起こりえた事なのではないかと考えています。語り部の話の真偽のほどは判らなくとも、それを聞いていた者が霊夢であるのなら、猟師と妖怪の関係について何か考えが生まれたのだと思います。
 少なくとも、そこで有無も云わさず妖怪を退治するなどと云う事はしないと思うのです。ですのでその場面に関しては、私は素直に受け止める事が出来ました。そういうところよりも、語り部の言葉の端々に感じる恥じらいや戸惑いを読み取る方が楽しかった作品でした。

 それでは長々と書いてしまいましたが、これにて。

  • 2009年05月07日木
  • twin
  • 編集
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