11.22.14:58
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05.04.01:46
作品集43「紫の彼岸」みづき氏
救いが無い、という前書きが意味するように、全く以て救いと呼ぶべき描写は存在していなかった。ただ淡白的に綴られて行く物語が、残酷な時の流れを示し出し、長寿という実に皮肉的な現実が、読み進める旅にありありと浮かび上がって行く。読むに耐え難い寂寞は確かにある。けれども、全く救いが無いと表現するには、少し語弊が生じるかも知れない。荒廃した世界、幻想すら見えなくなった辛辣な世界を目にした時に、それでも微笑を浮かべる事が出来たのは、きっと漸く迎える事が出来た終焉に安堵したからに違いない。
或る日眠りに就いたら丸一日を寝て過ごしていた。そうしてまた眠りに就くと、今度は二日を眠り続けていた。四日、八日と増えて行く睡眠時間が示すのは、本来気にも留めぬものであるはずの寿命という制限時間。自分の露知らぬ場所で流れ続ける時を、紫はどう捉えどう過ごし、その果てに迎える終焉に、何を思うのか。
此処まで残酷な話を書き切った作者様には敬服せざるを得ません。そうしてこの物語を、淡々と進めて行く事が凄い。展開はただ時の流れて行く様を描き出し、移り変わって行く人々を無情に映し、紫という妖怪の心情を否応なしに感じさせるもので、一言で表すのなら残酷な物語という形容が最も適切でありましょう。
ただこういう物語が苦手な方にお勧めは間違いなく出来ません。読む事を選ぶという意味で、この作品の評価は二分されるのではないでしょうか。ともあれ楽しませて貰えましたので、個人的にはお勧めしたい作品です。この作品を紹介して下さった方、ありがとうございました。
或る日眠りに就いたら丸一日を寝て過ごしていた。そうしてまた眠りに就くと、今度は二日を眠り続けていた。四日、八日と増えて行く睡眠時間が示すのは、本来気にも留めぬものであるはずの寿命という制限時間。自分の露知らぬ場所で流れ続ける時を、紫はどう捉えどう過ごし、その果てに迎える終焉に、何を思うのか。
此処まで残酷な話を書き切った作者様には敬服せざるを得ません。そうしてこの物語を、淡々と進めて行く事が凄い。展開はただ時の流れて行く様を描き出し、移り変わって行く人々を無情に映し、紫という妖怪の心情を否応なしに感じさせるもので、一言で表すのなら残酷な物語という形容が最も適切でありましょう。
ただこういう物語が苦手な方にお勧めは間違いなく出来ません。読む事を選ぶという意味で、この作品の評価は二分されるのではないでしょうか。ともあれ楽しませて貰えましたので、個人的にはお勧めしたい作品です。この作品を紹介して下さった方、ありがとうございました。
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