11.22.09:42
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05.03.21:55
作品集75「ヘアーブラシとアスピリン」 鹿路氏
描写の巧みさには非の付け所も見付からない作品。
女性である限り避けられぬ痛みを表現する技量、登場人物達の会話など、全てが個性に溢れていて飽きる事なく読み終えられる、良い短編作品である。文章から伝わる咲夜の思い、紅魔館住人の心情など、実によく描かれていて、作品内の情景ばかりでなく、自然と彼女らがどういう日常を過ごしているのかを想像させられてしまう。そういう意味でこの作品には「広さ」を感じた心持ちがする。
下腹部に蟠っているような痛みが、常に咲夜を苛める中、いよいよ体調は更に悪くなって行く。定期的に訪れる儀式めいた痛み――一人孤独な闇の中に佇んでいるかのような不安の中で、咲夜は何を思うのか。
そう、一言で云えば、本当に「素敵」という言葉が似合う物語なのです。題目からして明るいイメージは得るないように思えますが、しかし氏の書く物語には温かさが滲み出ていて、それでいて纏わり着く鬱陶しい暖かさではなく、何処か平穏をもたらされているかのような暖かさなのです。細かく登場人物達の心情を読み解こうとすると、注意して読まなければならない部分もありますが、それも含めて素晴らしい構成だったと思います。
追記
長らく拍手コメントの方を確認していなかったのですが、幾つかお勧めの作品を教えてくださった方々がいるのを見て、大変申し訳なく思います。これから目を通して、私なりの感想を付けて行きたいと思いますので、ほかにも良作があり、そうしてお暇があれば教えて頂きたいです。
推薦しておいてなんですが、お体やお気分のいい時にレビューしてくださいね。時期的に立て込んでいらっしゃると思われますので。
ともあれ、(先日の作品が、という意味も含め)御健在で何よりでした。
ご心配ありがとうございます。そのお言葉に励まされながら、頑張っていきますので、どうか暖かい目で見守っていて下されば嬉しいです。
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