11.22.16:56
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03.25.20:04
作品集72「羯諦羯諦」リコーダー氏
昔風の文体が不思議な感慨をもたらす作品。何処か堅苦しく感じる文章なのに、初めから最後まですらすらと読めるのは、氏の成す文章だからに違いない。物語の主要部分に会話文は一切なく、そこには妖夢が修行に明け暮れながら師の姿を追い求める姿が、文体と見事な調和を果たして続いている。個人的に最後までこの文体で続いて欲しかったが、物語の結末は妖夢の一人称へと移行している。
厳つい顔に刀を帯び、死に装束のごとき白を着て山林を徘徊する者があるという噂が、事の発端である。白玉楼の姫君に仕える庭師、魂魄妖夢はそこに師の面影を感じ、件の人物がいると思われる寺へと向かう。宣告まで普通の生活が続けられていたかのように整然とした室内には人気はないが、妖夢は確かに誰かしらが居ると云う確信を得て、その寺に修行と師を探す為、宿泊する事にした。
こういう文体はあまりみた事が無かったので、最後まで飽きる事なく読み進める事が出来ました。導入部分が一番好きな場面だったのが印象的です。また緊迫感が伝わって来る斬り合いの場面も、登場人物がどういった動きを取っているのかが判り易く、剣の心得がない人でも楽しめる事だと思います。
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