11.22.13:44
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02.27.00:47
作品集70「虹色有頂天」深山咲氏
自らの原点を閉ざした少女と望まぬ境遇に陥った少女の物語。緋想の剣の一振りによって現れる鮮やかな天気がまるで目の前に広がったかのように思える繊細な描写は、静かな情景を感じさせ、読んでいると安らかな心持ちになる。こいしの気質がこれから先どのように変化して行くのか、またそれを通じて天子にはどんな変化があるのか、そういう未来を想像させてくれる読後感など、楽しめる要素は大変多い。
短編の完成度では個人的に満点。すっきり読めて、すっきり読み終えられる事だろう。
こいしと思わぬ出会いを果たした天子は、今宵も彼女に出会う。そうして年代物の古酒を持ち、手荷物もそこそこに静かな宴会会場へと向かった。参席するのはこいしと天子の二人のみ。こいしが訪れた時には最早定例となりつつある緋想の剣を振りかざし、彼女の気質を現そうと試みる天子は、自らの境遇とこいしの境遇を思い、憂う。――物語の果て、空に浮かんだのは、小さな小さな、けれども確かにそこに在る光。
周囲からは捻くれているように見られても、実は真直ぐな天子、そうして普段は自由気儘に地上を彷徨しているようでも、本心は覚りである自らの存在に思い悩んでいるこいし。そんな二人の温かな一場面が垣間見れる、切なくも美しい物語。ただ一点指摘するところがあるとすれば、文章のバリエーションを増やして欲しかったというところ。実に個人的なのですが、括弧内の台詞等を描写の中で感じさせてくれたなら、もっと好くなったのではないかと思います。あくまで個人的な見方ではありますが。
短編の完成度では個人的に満点。すっきり読めて、すっきり読み終えられる事だろう。
こいしと思わぬ出会いを果たした天子は、今宵も彼女に出会う。そうして年代物の古酒を持ち、手荷物もそこそこに静かな宴会会場へと向かった。参席するのはこいしと天子の二人のみ。こいしが訪れた時には最早定例となりつつある緋想の剣を振りかざし、彼女の気質を現そうと試みる天子は、自らの境遇とこいしの境遇を思い、憂う。――物語の果て、空に浮かんだのは、小さな小さな、けれども確かにそこに在る光。
周囲からは捻くれているように見られても、実は真直ぐな天子、そうして普段は自由気儘に地上を彷徨しているようでも、本心は覚りである自らの存在に思い悩んでいるこいし。そんな二人の温かな一場面が垣間見れる、切なくも美しい物語。ただ一点指摘するところがあるとすれば、文章のバリエーションを増やして欲しかったというところ。実に個人的なのですが、括弧内の台詞等を描写の中で感じさせてくれたなら、もっと好くなったのではないかと思います。あくまで個人的な見方ではありますが。
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