11.22.19:25
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03.02.05:38
作品集54「潮騒」反魂氏
大切な人を亡くした時、人はどうなってしまうのか。或いは嘆き悲しみ後を追い、或いは強がり勇んで必死に生き、或いは絶望の果てに死んだかのような生を送り、――また或いはその事実を受け止めて、強い意志を以て生き続ける。凡そ数え切れないほどの選択肢が、我々にはある。その中で、この物語の主人公たる彼女が決意した生き方は如何なるものであったか。私はそれを、とても強いように思う。
この作品に秘められた悲劇は紛れもなく辛辣なものであった事だろう。淡々とした独白の中に、そういう場面は幾らでも想起される。そうしてそれを思えば、彼女の言葉がまるで自分のものであるかのように、驚くほど切なげに染み渡って来るのである。私は、ただただ氏の表現力に敬服するばかりであった。
冷たい雨が降る夜、皆が見守る中で咲夜は穴を掘る。滔々と流れ出る過去の思い出は止まる事を知らず、主への想いは膨れ上がる一方で、突き刺さる現実を目の当たりにしながら、それでも彼女は穴を掘り続ける。
果たして彼女は、大きなものを失ってから、何を望んだのだろうか。
PNの事やら何やら一騒動あったらしいのですが、私は余りそういうのを気にしない性質の上、既に問題個所は修正されていたようだったので純粋に作品と向き合えたように思えます。思った事は、やはり表現力が凄いな、という事。咲夜の独白だけで此処まで色々と伝えられた事が純粋に凄いと思えました。
しかし気になる所が一点。環境依存文字なのか、何箇所か文字がおかしくなっていた所があって、些か雰囲気を害された心持ちがします。また「暗い」を「昏い」と表記されていたりと、色々な意味で読み手に不親切な部分があったりした気がしたので、そういった所は「暗い」と表記すべきではないか、と思いました。
是非ともお勧めしたい作品です。
この作品に秘められた悲劇は紛れもなく辛辣なものであった事だろう。淡々とした独白の中に、そういう場面は幾らでも想起される。そうしてそれを思えば、彼女の言葉がまるで自分のものであるかのように、驚くほど切なげに染み渡って来るのである。私は、ただただ氏の表現力に敬服するばかりであった。
冷たい雨が降る夜、皆が見守る中で咲夜は穴を掘る。滔々と流れ出る過去の思い出は止まる事を知らず、主への想いは膨れ上がる一方で、突き刺さる現実を目の当たりにしながら、それでも彼女は穴を掘り続ける。
果たして彼女は、大きなものを失ってから、何を望んだのだろうか。
PNの事やら何やら一騒動あったらしいのですが、私は余りそういうのを気にしない性質の上、既に問題個所は修正されていたようだったので純粋に作品と向き合えたように思えます。思った事は、やはり表現力が凄いな、という事。咲夜の独白だけで此処まで色々と伝えられた事が純粋に凄いと思えました。
しかし気になる所が一点。環境依存文字なのか、何箇所か文字がおかしくなっていた所があって、些か雰囲気を害された心持ちがします。また「暗い」を「昏い」と表記されていたりと、色々な意味で読み手に不親切な部分があったりした気がしたので、そういった所は「暗い」と表記すべきではないか、と思いました。
是非ともお勧めしたい作品です。
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